日本版PICシンボル講習会 同志社大学 (2014年2月1日(土))

平成26年2月1日、同志社大学で、日本PIC講習会を開催しました。
理論編として、猪股先生に、認知心理学の新しい知見を、情報を正確かつ短時間で提示するためのピクトグラムのデザインに活かすお話をしていただきました。 実践編として、PICシンボルを使ったLL(やさしく読める)ブック作りを行い、参加された方の創意工夫されたブックを紹介しました。支援学校で使用されて効果的だったシンボルキューブ、買い物で使えるコミュニケーションボード、写真とシンボルのマッチング・ぬりえの教材、PICシンボルの印刷ソフトであるピクトプリントの使用体験を参加者の皆様にしていただきました。また、HPの会員ページからダウンロードできる新作シンボルを紹介しました。


ピクトグラムのデザインに関する認知心理学からの提案

猪股健太郎 (関西大学大学院)


認知心理学は知覚・記憶・学習・思考などの認知活動の過程を明らかにする学問であるが,近年では,ピクトグラムのデザインに応用可能な研究成果も報告されてきている。特に,人間の認知処理の特性を考慮することで,視覚刺激を用いて情報を正確かつ短時間で呈示するための工夫について議論がなされている。本講演では,これらの研究成果を紹介するとともに,ピクトグラムのデザインについての具体的な提案を行った。


新作PICシンボルの紹介

小林美津江(大阪府立金剛コロニー)


新作PIC30個を作製したことを報告した。作製方法は、デザイナーにデザイン案を提示し、修正を加えながら出来上がった。 デザイン作製のための配慮したポイントは、①大きさ450㎜×450㎜ ②PICの中に、ある要素は2~3個 ③細かな線や表現は省略しコントラストをはっきりする ④実物が想像できる描写 ⑤一般的で目に触れる表現 ⑥ジェンダーフリーのデザイン ⑦なるべく矢印は使用しない 等の点であることを報告した。
また、新作PICはホームページからダウンロードできる、著作権はPIC研究会にあることなどを報告した。


教材作り(実習)「PICシンボルを使ったLL(やさしく読める)ブックを作ろう」

槇場政晴(大阪府立茨木支援学校)


シンボルを使ったLLブックを制作するときには、読者に何を 伝えたいのか明確にし、情報をいかに精選するのかが重要なポイントとなる。そして、伝えたいニュアンスに近いシンボルを選定する必要がある。そこで、今回の研修会では、有名な「ももたろう」の昔話を題材に、自分なりの解釈を加えた上でストーリーをシェイプアップし、どのようなシンボルを選択すると効果的に制作の意図が伝わるのかを考え、私流「ももたろう」の制作試みた。



教材を使ってみよう


シンボルキューブで文作り

岡田さゆり(滋賀県立野洲養護学校)


シンボルキューブ(3㎝四方の立方体の各面にPICシンボルや写真を貼りつけたもの)を使った実践を紹介した。自分の好きなものについて、シンボルキューブを並べて2~3語文を作り、伝えることや理解することを促すことができた。  参加者に実際にシンボルキューブを手にしていただいた。6面あることの良さ、外枠の色はカテゴリー別にあるとよいことなどの意見があった。一つのものの異なる部分の写真を6面に貼ることでシンボルの導入につながること、シンボルキューブを使って「やりましょうゲーム」ができる、などアイディアも出していただいた。



買い物で使える「コミュニケーションボード」

永野 建一 (元 京都市立東総合支援学校)


最小限の支援を受けながら、主体的に買い物ができると、地域生活をより充実したものにしやすくなる。そこで、支援の依頼や意思疎通に使える「コミュニケーションボード」を作成した。PICシンボルを使ったコミュニケーションボードを使うと、言葉で相手に分かるように意思を伝えにくい人も、よりよく買い物ができる可能性が大きくなる。参加者に利用者と店員になっていただき、模擬の買い物体験をした。





写真とシンボルのマッチング・ぬりえ

藤澤和子 (京都府立南山城支援学校)


「シンボルと写真の仲間あつめをしましょう」は、シンボルが意味するものの概念を表すことを理解するためのプリントである。「なにがあるかシンボルでさがそう」は、シンボルの表すものが、実際の生活場面で使われている写真を示し、シンボルと実物の写真を線で結ぶプリントである。これらを参加者に書いていただいた。「ぬりえ」は、PICシンボルの背景が黒色であるため、色を塗る途中にはみ出しても失敗感をもたなくていいという特徴を体験していただいた。

シンボルと写真の仲間あつめをしましょう なにがあるかシンボルでさがそう


ピクトプリント

塩見ちあき (株式会社コムフレンド)


明日から使える教材例として、ちょうど節分の前だったため、ピクトプリントを使って、節分に関するカードやシートを作成する方法等を体験していただいた。

ピクトプリント画面 ピクトプリント活用例