日本版PICシンボルの開発

日本PICシンボルは次の定義によるものです。

  1. マハラジ氏の提唱するPICシンボルのデザインコンセプトに基づき、黒地に白で描かれたPIC形式のシンボルをPICシンボルとする(PICのデザイン則)。カナダのPICTOCOM INTERNATIONAL、スウェーデンのNational Agency for Special Needs Education and Schoolで制作されたシンボルは、これに含む。
  2. 新規シンボルを採用する場合は、PICのデザイン原則に基づいて作成されたJIS絵記号作画原則に従ったシンボルとする(JIS作画原則の優先)。
  3. 同じ意味の語彙に複数のデザインが存在する(制作された)場合は、1と2の条件を満たす場合すべて採用する。

定義に基づいて、必要なPICシンボルを、開発していきたいと考えます。

東日本大震災 被災者支援PICシンボルの提供

現在、東日本大震災で被災されたコミュニケーション障害をもつ人たちのためのコミュニケーション支援用ボードに使用するPICシンボルの開発を行なっています。「知的障害と自閉症のある人のための読書活動を支援する会」と「日本PIC研究会」が制作し、震災地へ配布する予定です。

話し言葉や文字の理解や表出に困難をもつ知的障害、自閉症の人たちが、東北関東大震災の被災により生活環境が激変する中で、必要な情報を得ることや、自分の気持ちを表現してコミュニケーションをもつことができない状況におかれていることが危惧されます。とりわけ、避難所生活で、いっしょに生活する被災者や行政、ボランティア、医療関係などの支援者は、彼らと初めて会う人達も多く、また日々接する人が変わっていくという状態にあるため、言葉が話せない、理解できない人とコミュニケーションをもつことに、大きな障害が生じていると思われます。

そこで、支援者などの人たちが、彼らに情報を伝え、コミュニケーションをもつために使用するPICシンボルのボードを作成し、避難所や施設などで、精神的に安定して彼らが生活できることを支援したいと考えます。コミュニケーションボードは、震災後の生活で使用するためのことばをシンボルで提示し、初めての人でも使えるように使用説明を付けたいと思います。

現在開発中のシンボルは以下の通りです。
大丈夫・安心 危険  危険の度合いの5段階表示 痛みの度合い5段階表示
放射能 布団 津波 便秘 一人になる(してほしい)
毛布 お腹がすいた こわい ストーブ おむつ

PIC研究会の会員のみなさまへ

開発するシンボルのリストを作っています。必要なシンボルの語彙をメールでお知らせください。デザインのイメージがあればスケッチ、写真等をご用意ください。リストから必要性に応じて順次制作を進めていきます。

「やさしく読める公共図書館利用案内」シンボルデザインの提供

知的障害などの人たちが、公共図書館を利用して、読書を楽しめるように、わかりやすいことばや文章、見やすいレイアウトで表現した「やさしく読める公共図書館利用案内」が、近畿視情協LL(やさしく読める)研究部会で制作されました。知的障害のある当事者の方も参加され、意見を取り入れて編集されました。見やすくわかりやすいレイアウトのために、JIS絵記号の参考例とPICシンボルを基に制作されたシンボルが使用されました。

近畿視情協のHPから、見本がダウンロードできます。見本に、写真を入れたり各図書館に応じて、開館日などの情報を加えて、使用できるようになっています。現在、大阪市立富田林図書館、京都府精華町立図書館で、利用されています(http://homepage2.nifty.com/at-htri/ll_guide.htm)。