災害用コミュニケーションボードについて

日本PIC研究会は、知的障害・自閉症児者のための読書活動を進める会と共同で、東日本大震災等の災害用に使用するコミュニケーションボードを制作しました。

知的障害特別支援学校の校長会で、全国の知的障害特別支援学校に災害用コミュニケーションボードを配布することが決定しました。東北の被災地の学校から配布を始めます。

東日本大震災のような大きな災害により生活環境が激変する時、話し言葉や文字の理解や表出に困難をもつ知的障害、自閉症の人たちは、避難や避難生活に必要な情報を得ることや、自分の気持ちを表現してコミュニケーションをもつことができない状況におかれます。とりわけ、どのような災害が起こっているのか、どのように避難するのか、という情報は、生死にかかわる重大なものです。予測できない激変は、彼らを不安に落としこみます。また、被災による避難生活では、ボランティア、教育関係、医療関係、行政などの支援者は、彼らと初めて会う人達も多く、また日々接する人が変わっていくという状態にあるため、言葉が話せない、理解できない人とコミュニケーションをもつことに、大きな障害が生じます。

そこで、支援者などの人たちが、彼らに情報を伝え、コミュニケーションをもつために使用するPICシンボルのボードを作成し、精神的に安定して彼らが生活できることを支援したいと考えました。知的障害の人にとって、わかりやすく使いやすいボードにするために、数名の知的障害のある人たちの意見を聞きながら、いっしょに語彙やシンボルのデザインの選定を行いました。震災の状況の中で、とりわけ伝えたいこと、知りたいことの内容を考えて6つの項目を作り、それらを表現するためのシンボルを選びました。「ほしいもの」を要求したり、配られるものを知らせるための語彙、危険を知らせるための「ひなん」に関する語彙、「かぞくやともだち」「たいちょう」「きもち」「いたみのていど」について伝えるための語彙に絞りました。 コミュニケーションボードは、A3版を二つ折りにして、両面カラ―印刷をしています。また、携帯に便利であること、汚れにも強いことを考慮した素材(ラミネート)で制作しています。